味わい深い活版印刷の魅力

活字の組版を用いてインクを紙に印刷する凸版印刷の一種である活版印刷は、デジタル化が進んだ印刷技術の向上により現在ではほぼ絶滅に近い状況ですが、活版印刷に直接触れたことのない若い世代には、そのアナログ感や温かみ、レトロな雰囲気が逆に新鮮なようで、近年再び人気を博しているようです。古くから営業している活版印刷の印刷所には、名刺やメッセージカードなどをオーダーする新社会人の方や若いクリエーター、デザイナーの姿が見受けられ、再び活気を取り戻しつつあります。

現代の我々から見た活版印刷の魅力は、やはりその温かみとアナログ感でしょう。人の手で一文字一文字が大切に選ばれている感覚や、デジタル印刷では表現できない凹凸、インクのかすれなどが、出来上がった名刺やカードに刻印され完成した時、なんとも言えない人の手の温かみがそこには存在します。

また、活版印刷は視覚的な魅力の他に、触覚的にもデジタル印刷には無い魅力があります。活版印刷独特の凹凸は印刷の際の印圧の強弱によって深さが変わるので、例えば名刺などでも自分の名前だけに強いプレスをかけて特別感を演出したり、逆に社名だけに圧をかけしっかり刻印したり、作る人のアイデアやこだわりに応じてさまざまなアレンジが可能です。あえて刷りムラをだして個性を演出したり、かすれさせたり微妙に凹凸を調整したりと、活版印刷には魅力がたくさんあります。

最近ではそんな活版印刷の人気から、活版印刷の体験や創作、ワークショップなどができる教室が流行しています。体験教室では専門の講師の指導の下、活字を拾い組版をつくるところから体験でき、最終的には自分オリジナルの名刺やカードなどを自分の手で一から作ることができます。また、活版印刷の歴史や成り立ち、古い活版印刷機を学ぶツアーなど、名刺やカードの製作以外の分野でも、大勢の方が活版印刷に興味を持って足を運んでいます。

自宅で簡単に活版印刷を楽しめるキットも人気です。ドライバー一つで簡単に組み立てられる小さな活版印刷機は、ひらがなとアルファベットの活字も付いていて、これを自分で組んで手軽に名刺サイズのカードに印刷ができます。印刷された文字はしっかりと凹凸があり、アナログならではの温かみが感じられます。

古き良き活版印刷の魅力が見直されつつ現在、活版印刷という一つの技術を通して、現代人が忘れかけたアナログの良さ、人の手の温かみが見直されつつあるようです。