活版印刷は文字を印刷するために使われる技術です。印刷するには鉛製の活字というハンコのような道具を使います。一つずつ文字の形が彫られており、そこにインクをつけて紙に転写します。文字は印刷したい文章に合わせて並べますので、とても手間がかかる作業です。技術の歴史は古く、500年以上前にはすでに使われてきた記録があります。

 

活版印刷写真1

 

始まりは中国とされていますが、実際に活版印刷で刷られたものが現存しているのは日本で、法隆寺などに保管されています。刷るたびに文字が彫られた鉛の道具を紙に押し付けるため、押し付けた部分にやや凹みのできるのが特徴的です。

 

何度も印刷するほどインクが薄くなってくるため、文字の濃度が違ったりムラになってきます。また、完璧な位置に印刷するのは難しく、多少のズレが生じるのも味わい深い特徴です。活版印刷で使われている鉛製の道具を作るには鋳造技術が必要です。需要の低迷から製造メーカーが減少したことや、活字を組み合わせる職人が減ったこともあり、近年ではあまり見かけなくなってきています。

 

しかし、活版印刷は徐々に見直されつつあり、世界的な需要が高まっています。従来のような手間のかかる鉛製の版ではなく、樹脂や亜鉛、マグネシウムなどの素材を用いて版を作るのが現在の主流です。これらの素材を用いても活版印刷独特の凹凸が紙に生まれ、おしゃれな雰囲気を楽しめます。

 

現在主流である樹脂などの素材は、従来の鉛に比べると文字を鮮明に印刷できないデメリットがありました。しかし、近年では製造技術が向上したことから、樹脂製でも十分に美しい文字印刷を可能にしています。文字をくっきりと美しく印刷できる活版印刷はパソコンを使い、データ化することによって、以前では再現が難しかったフォントやイラストまで印刷できるように進化しています。

 

会社のロゴの印刷でも活用されているほどです。ちなみに活版印刷とはまた違った方法で印刷できるのが、オフセット印刷という技術です。このオフセット印刷が世界的に普及しているものの、活版印刷の文字に比べるとインクの濃度が薄めで、黒さを引き立たせる印刷をしたければ活版印刷には敵いません。オフセット印刷は繊細な文字を再現できる一方で、活版印刷は直接インクをつけますので紙へ押し付けたときにやや文字が太くなります。しかし、この太さのおかげではっきりとした文字に仕上がり、読みやすくて目の疲労を和らげる効果を持っています。